先日、テレビで「ブレインダイブ」というマジックをやっていました。少し前に流行したメンタリズムと似たような人間心理を利用したマジックのようです。
マジシャンが一人で黙々と進めるのではなく、見ている側もマジックに参加しながら進めるのでトリックが完成した時の驚きも大きく膨らむのでしょう。
iPhone電卓を利用したマジックの流れ
まずはどのようなマジックだったのかを簡単にご説明します。
マジックのゴールは数字当てで、計算結果の数字を当てます。それが今回ご紹介するブレインダイブです。
マジックの流れは以下の通りです。
まずは予言した数字を書いている紙を相手に渡しておきます。もちろん何が書いてあるかは見えないように。
iPhoneの電卓アプリを起動してスタートです。
- 2ケタの数字を押して「+」を押す
- 2ケタの数字を押して「+」を押す
- 3ケタの数字を押して「+」を押す
- 4ケタの数字を押して「×」を押す
- 2ケタの数字を押して「=」を押す
そこに表示された数字が事前に予言した紙に書いてあるというものです。任意で入力した計算式で導かれた答えが予言されているので、ビックリしますよね。
計算の途中で「3をかけてください」とか「1の位と100の位を入れ替えてください」のようにルールのあるマジックは知っていましたが、自由に入力していいパターンはあまり無いので、驚きました。
お札のシリアルNo.も計算結果と同じになる
メインの流れは上記で説明した通りですが、サブとしてもうひとつ驚きが用意されていました。その流れはこうです。
- 相手から千円札を借りる
- 用意した封筒にその千円札を入れて封をする
- 封筒を相手に渡しておく
- (ここから上記の電卓マジックをスタート)
- 封筒からお札を出す
- 電卓に表示された数字と千円札のシリアルNo.が同じになっている
このサブを取り入れることで、数字を当てるだけでなく千円札のシリアルNo.まで変わってしまった!と驚きが二重になり、相手はさらにビックリします。
種明かし(ネタバレ)
種明かしはダラダラしてもしょうがありませんので、スパッといきます。
まずiPhone電卓での数字当てのカラクリはこうです。まずは準備として以下のようにiPhone電卓アプリに入力しておきます。
最後に表示させたい数字 + 0 ×( 0
※上記の( はカッコの左側です
最後の 0 は電卓の + マークが押された状態を隠すためです。ここまで入力したら2ケタ、3ケタなど任意の数字を適当に入力して + や × で続けてみましょう。このへんでいいかなと思ったら、最後に = を押します。
するとどうでしょう?
「最後に表示させたい数字」が表示されていませんか?
これができれば数字の予言は簡単ですね。自分で自由に決めておくことができますので紙に書いて予言とすれば完成です。
テレビで紹介された「お札のくだり」までしたいと思わなければ、ここまでで十分楽しめると思います。
一応、お札のシリアルNo.が一致するのも気になるという方向けにサクッとお話しますと、利用する封筒は二重構造になっているということです。もちろん見た目はそんな風には見えないように工夫されています。
封筒の上のほうを破るときと、下のほうで破るときで繋がる空間が違います。つまり事前にお札を仕込めます。
ここまでくればお札のシリアルNo.がなぜ予言した数字と一致するかは分かりますよね?
披露するときのポイント
このマジックを披露するときのポイントは以下の2つです。
- iPhoneアプリの電卓であること
- 画面の横向きロックは解除しておくこと
このマジックは( ←カッコ が入力できる電卓である必要があります。そのため、通常の電卓ではこの操作ができないと思いますので、iPhoneアプリを利用する必要があります。
iPhone電卓で( を入力するためには、電卓を起動している際に横向けに画面を傾けて関数電卓表示にする必要があります。その中に( があります。
この事前準備をする際にiPhoneの向きを一瞬だけ変える必要があるため、これらの動きをいかに自然に行えるかがテクニックになるでしょう。
なお、横向きにする準備を入れたくない場合は、以下の準備でも予言した数字を表示することができます。ただし計算過程の表示が少し変わります。
最後に表示させたい数字 + 0 × 0
最後にわざわざ 0 を入力しているのは、× で終わったままでスタートすると電卓の「+」マークが押されている状態が分かってしまうからです。
どちらが完成度が高いマジックになるかはテクニック次第かもしれませんね。
最後に
ブレインダイブの特集をよくテレビで見かけるようになりました。
マジックは何でもそうですが、タネを知ってしまえば「な~んだ、そんなことしてたのか」と思って終わりですが、この仕組みを思いつくことがすごいです。「ある」ものを否定するのは簡単ですが「ない」ものから生み出す才能が凡人にはありません。
また新たな技で驚かせてほしいですね!